個人の情熱が、
ビジネスのエンジンに。
豊田通商が新たな情報発信チャネルとして立ち上げた「TOYOTSU FACES」。この名前にもある通り、一人一人の「顔(=個性)」が集まり一つの会社になるという考え方を、私はとても大切にしています。当社の事業を振り返ってみても、社員の個人的な情熱がビジネスに結びついた事例がいくつもあります。例えばクロマグロの養殖事業は、ある魚好きな社員の「美味しいマグロをいつまでも日本人が食べ続けられようにしたい」という思いから生まれました。事業を進めるうえで社会課題の解決を考えることはもちろんですが、そこだけにとどまらず、自分自身や周囲の人々がワクワクできる新たな価値を積極的に創造していく。そんな企業でありたいと思っています。
魂は細部に宿る。
それがプロの仕事。
同時に、“やるからには徹底的にやり抜く”という覚悟と責任を、当社の社員には必ず持ってほしいですね。「魂は細部に宿る」という言葉がありますが、「そのテーマについては自分が誰よりも詳しい」と自信が持てるほどの知識と経験を積み重ねてこそプロの仕事。きっかけは単純な思いつきや個人的な夢であっても、事業化するには、現場に足を運び、たくさんの人から話を聞き、文献を調べつくして、何度も事業計画を練り直さなければ決して成功しません。異なる道のプロが集まり、力を発揮し合うことができれば、組織としての力はさらに高まるでしょう。
失敗してもチャレンジャー。
今でこそこうして話をしていますが、私自身の若い頃は、実は失敗だらけのまったくダメな社員でした。入社初日、メモも取らずに上司の話を聞いていきなり怒られましたし、初めて顧客と会食した際には、苦手なお酒を飲んで舟を漕ぐ大失態。私が上司なら即刻クビにしていたでしょう。しかしこうした失敗からは、生涯忘れられない教訓を学びました。私は嫌なことは直ぐに忘れるけれども、失敗したことは忘れないようにしています。成功した仕事よりも若い頃の失敗ほどよく覚えているのは、それが私の成長につながったからです。昔、当社のスローガンに「成功したら社長、失敗してもチャレンジャー」というものがありましたが、挑戦に失敗はつきもの。会社として評価すべきは、失敗よりもチャレンジの方です。失敗してもそこから何を学び取るかが大事。豊田通商が持つこの風土「減点主義ではなく加点主義」は、この先も守り続けていきます。
東洋棉花が輸入するインドの最高級綿花
SuvinGoldから作られた生地のシャツ着用
多様な才能に気づける
「目」を持って。
そして経営層としては、部下の挑戦や一人一人の素晴らしい才能を、決して見逃がさないようにしなければなりません。目立つ仕事やイノベーションが注目を集めがちですが、日々の仕事を地道に改善していく不断の努力も同じくらい重要です。一人一人に役割があり、一人一人がプロとしてその仕事に取り組むことで、豊田通商という舞台が完成するのですから。ちょうど先日もこんなことがありました。東京本社の売店でレジを担当されているスタッフの方とお話をした際、実は彼女が障害者スポーツの陸上競技における日本記録保持者だったことを知ったのです。私たちが気づいていない才能や多様な「顔」が、豊田通商にはまだまだたくさんある。それを皆さんにも、ぜひ見つけていただきたいのです。